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いすみでイセエビ漁解禁 漁師の仕事に触れ、多様な交流深める

網を広げ、絡まった海藻などを取り除いていく

網を広げ、絡まった海藻などを取り除いていく

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 いすみの岩船漁港で8月6日、イセエビ漁が解禁された。

網に絡まったイセエビ。道具を使い丁寧に取り除いていく

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 いすみ近郊の漁場ではイセエビ漁が盛ん。毎年6~7月の禁漁期間を経て、8月1日に漁が一斉に解禁される。最終的に漁港ごとに出港日を決めており、今年は台風の影響で同市大原漁港と太東漁港は8月5日に、岩船漁港は1日遅れて6日に解禁された。

 岩船漁港の漁船は現在13船。30~80代の漁師が漁に出るが、漁港の規模が小さくほとんどは一人乗りの漁船。解禁日の14時30分になると目当ての漁場に向かって船が出港し、それぞれ網を仕掛けた。翌日深夜に網の引き上げを始め、早朝5時ごろに陸での作業が始まった。

 裕大丸船長の吉田裕樹さんの作業場にも15人ほどが集まり、作業を開始。網にかかったイセエビを丁寧に取り除いていった。吉田さんは「船が大きく複数人で漁に出ている場合、網を引き上げ船上でイセエビを取り除く作業を行う漁船もある。漁港のそばに作業場を設けて水揚げ後すぐに作業を行う場合もあるが、当船は一人で漁に出ていて漁港のそばに作業場を持たないため、車で5分の自宅敷地内に作業場を設けている」と話す。

 2年前から手伝いに来ている女性は「複雑に絡まった網を丁寧にほぐし、イセエビが取り除けた時は快感。知恵の輪のようで面白い」と話す。網にはイセエビ以外にも、カニやワカメ、さまざまな魚がかかる。5年ほど前から小学生の子どもと一緒に参加している人は「さまざまな海の生き物に触れることができ楽しい。作業をしながら詳しくなった」と話していた。

 イセエビなどの取り外しが終わると、3~4人組みに分かれ網を広げながら海藻などを取り除いた。この日の作業はおよそ3時間で終了。吉田さんは、傷などで出荷できないイセエビやサザエ、網にかかったタイなどをお礼として参加者へ渡した。

 吉田さんは「漁は天候に大きく左右される。イセエビ漁は8月~9月が最も多く捕れるシーズン。自然が相手なので予定通りにいかないことも多いが、作業は時間との勝負。その時々で、さまざまな人に協力してもらうことがとても大事」と話す。

 「6年ほど前にUターンして漁師になった。手伝いに来る人の中には、地元の人や親戚もいるが、移住者もいる。この日参加した人も移住して酪農を始めた人や飲食店を開業した料理人などさまざま。このような機会がなければ交わることがない人も多い。地元の花火大会や地域情報など、作業をしながらさまざまな情報交換をしている様子を見ていると、世代や肩書、関係なく交流の場になっているのではとも感じる。漁を通して、さまざまな人とつながっていけたら」とも。

 イセエビ漁は、組合が休みになる日曜日を除き、海の状況を見て毎日行う。

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