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若手漁師がサメ活用、新商品「シャークバー」 いすみ「港の朝市」で販売

「炭火でよく焼くのがおいしさの秘訣(ひけつ)」と田口さん。自作の看板も携えて出店に臨んだ

「炭火でよく焼くのがおいしさの秘訣(ひけつ)」と田口さん。自作の看板も携えて出店に臨んだ

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 未利用魚のサメを使った新商品「シャークバー」が12月7日、「港の朝市」(いすみ市大原)で販売された。

正和丸の松本明央船長と田口さん

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 シャークバーを販売するのは、大原漁港の漁船「正和丸」の漁師田口光哉さん。田口さんは地元大原の出身で高校卒業後、海上自衛隊を経て祖父が操業する同船の漁師になった。

 商品開発のきっかけは、田口さんが近所の総菜店「咲屋(わらや)」店主の最首典彦さんに「サメのみりん干しを考えた」と試作品を持ち込んだこと。サメは他の魚の漁で一緒に水揚げされることがあるが、雑魚扱いのため商品価値がなく捨てられてしまう。田口さんは廃棄される魚を有効利用したいと考えたという。

 最首さんは「試作品を食べてみると味も食感も良かったので、『港の朝市で売ってみては』と誘った。若手漁師が未利用魚の新しい食べ方を自ら考えて実行している姿に協力しようと思った」と話す。元々漁の合間の時間を活用して副業ができないかと考えていた田口さんは出店を決意し、販売に向け準備を始めた。

 原料となるサメは「ハブカ」という50センチ前後のサメ。大きいものは1メートルを超えるという。田口さんは「出店が決まってから祖母の助言をもらいながら、みりん干しの商品開発を進めた」と話す。

 11月16日、港の朝市で土産品として販売したが、「客の反応が今一つのように感じた」ため、「その場で焼いて食べることができる串焼きにしよう」考え、味付けや身の切り方など試行錯誤を重ねた。翌週、試験的に「シャークバー」と名付けた串焼き約100本を販売。さらに味付けを改良し、焼き方も工夫して、今回、販売を始めた。「特徴は漁師風で濃い味付け。白身魚のように淡泊でふっくらした食感に、しょうゆとみりんの味付けがよく合う。焼きたてがお勧め」と田口さん。

 当日は8時の開始から多くの来場者でにぎわった。名前に興味を持って来店する人もいた。千葉市内から来場した男性は「他の場所でサメをフライにした商品を目にしたことはあったが、焼き物は初めて見た。どのようなものか食べてみたくなった」と話していた。

 田口さんは「サメは集団で生息する性質ではないため、まとまった漁獲を見込みづらい。そのため、入手次第となるので次回の出店は未定。将来的には朝市の他に、漁師直営の鮮魚店などもやってみたい」と意気込む。

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