「生きるを感じる狩猟体験『Into the Wild』」をテーマにした1泊2日のプログラムが7月20日・21日の2日間、 「Hunt+(ハントプラス)」(いすみ市山田)で開催された。
ハントプラス代表で猟師の石川雄揮さんが企画。当日は猟師仲間で御宿町のオンジュクジビエラボラトリー代表・宮崎勢太郎さんと大多喜町GREEN BORDER代表・石川奨さんもサポートに入った。同プログラムは18歳以上を対象に開いた。
石川さんは報道職の経歴を持ちテレビディレクターやフリーの戦場写真家として活動していた。人生に苦しみ悩む日々を送っていた時、ふと参加した狩猟体験で「さまざまな迷いや悩みなどがちっぽけだと気付かされた」経験から、猟師の道へ進んだ。自身の体験から狩猟体験を通じて、命や自然環境の大切さ、その先の本質面にまで向き合えるような体験プログラムを企画している。当日は、県内外から定員となる男女12人が参加した。
プログラム1日目は座学で学んだ後、森の中を歩きながら獣道の探し方や森に住む動物の痕跡から森林の生態系について、石川さんの細かい解説を聞きながら、ハンター目線の山登りを体験。わなの仕掛け方講座では、箱わなの解説やくくりわなのレクチャーを受けた。夜は、イノシシやキョンの肉などのジビエ料理が振る舞われた。
2日目は、と畜から解体までを体験し、解体した肉を試食した。キョン皮を使ったワークショップもあり、参加者はそれぞれ革製品を作った。
県内から参加した男性は「本能的な狩猟というものに興味があった。以前半日コースを体験し、次はこの2日間の体験プログラムを受けると決めていた。と畜の場面では覚悟を持って参加していたが、実際目の当たりにすると、と畜された後でも動くキョンを感じて心にくるものがあった。今後、例えば大量に消費される食べ放題で出てくる肉など、今まで気にしていなかったものに対して、自分の捉え方が変わるのでは」と話していた。
石川さんは「僕らの『命』の居場所も返るところも本来は自然の中にあり、多くの人はそれを忘れてしまった。社会・住宅街といった人が造った狭い空間の中にいれば、生きづらさを感じるのは当然。狩猟は森に息づく命と融け合い、自身の命とも対峙(たいじ)する営み。たった2日間でも何らかの真理や本質に触れる根源的な気づきを得られるような機会になれば。今後は、困窮家庭向けの無料体験を増やして、体験格差問題の解消により注力していきたい」と意気込む。
次回は、8月24日・25日の1泊2日で、親子参加限定で予定。半日体験は常時催行。ひとり親家庭は無料で参加できる。