清水寺(いすみ市岬町鴨根)で9月3日、「秘仏本尊開眼式典」が行われた。
807年に坂上田村麻呂が建立したといわれる同寺は、京都の「音羽山清水寺」、兵庫の「御嶽山清水寺」と共に、日本三大清水寺として知られている。
昨年から秘仏本尊の観音菩薩(ぼさつ)立体像の修復を進めていたが、この度完了し、開眼供養を行うことになった。当日は、同寺の住職のほか天台宗南総教区研修所、同区仏教青年会の住職ら総勢18人が集い、散華・対揚法要を行った。本堂内に響く読経に参列した人からは「力強いお経に感動した」などの声が聞かれた。
参列した太田洋いすみ市長は「子どもの頃から親しんだ場所の一つ。平安時代から続く歴史ある寺を、次の時代につないでいってほしい」とあいさつし、同寺住職の井上周海さんは「文化財の研究所の調査をきっかけに、修復するを行うことになったが、多くの人に支えられ、この日を迎えることができた」と感謝を述べた。
同寺は、地域の人々からは「清水観音」と呼ばれ親しまれているが、「坂東三十三観音」の坂東32番の礼所として遠方から巡礼に訪れる人も多い。境内と周辺の山林は千葉県郷土環境保全地域に指定されており、豊かな自然に囲まれた歴史ある環境に、訪れた人からは「心が落ち着き癒やされる」という声があった。
境内にある「寺カフェ千尋亭」では、地元素材を生かした甘味を提供。10月13日には座禅体験などができる「清水観音寺市」を開くなど、新しい取り組みも進めている。
住職の妻で千尋亭店主の井上恵津子さんは「地域の人々にとって身近な場所としてあり続けられるよう、環境整備を進めながら、訪れるきっかけになるような、さまざまな取り組みも進めている。気軽に立ち寄ってもらえたら」と呼びかける。
秘仏本尊は毎年8月9日に開帳される