いすみ市在住の有志が企画した「いすみ市長選挙立候補予定者質問会」が11月1日、いすみ市山田の古民家で開催された。
閉会後の記念撮影。候補者、質問者、傍聴者が一緒になって交流した
同市では11月30日、任期満了に伴ういすみ市長選挙が執行される。同会発起人の海老沼貞夫さんは「今回の候補者には日頃から世話になっている。市民としてどの候補者に投票するかは公約だけでは決めきれない。候補者の思いを直接聞ける場ができないかと考えた」と話す。SNSで呼びかけたところ多くの人が賛同し、実現に向け準備を進めた。
「候補者の資料をよく読んだ上で、投票先を決めるためにさらに聞きたいことを直接候補者に質問できる場」を目指し、質問希望者と打ち合わせを重ねた。「多くの質問を頂いたが資料を読み込んでいるかどうか、質問は的確かなど検討し絞った。後日、動画配信も考えていたので顔出しができるかどうかなども確認した」と海老沼さん。
当日は、立候補予定の小路正和さん、佐久間治行さん、高原和江さんの3人が出席し、12組が質問した。質問時間は30秒で立候補予定者がそれぞれ2分ずつ返答。「いすみ鉄道の復旧について」「今後の農業について」「林業について」「企業誘致、地元の雇用について」「空き家対策」「地域医療について」「経済対策・財源」「観光業の今後」など、質問内容は多岐にわたった。
会場は海老沼さんが管理する古民家。和室のほか土間も有効に活用し、30人ほどが傍聴に訪れた。今回「誰に投票するか迷っている人」を対象にしたため、後援会、支援者、市議会議員、選挙関係者は会場外での傍聴に限ったという。
質問した20代男性は「候補者の人となりが対話から見えてきてとても良かった。微妙な政策方針の違いなども理解することができた」と話し、同じく質問者の50代女性は「この場で直接質問に答えてもらえたのでより身近に感じることができた。資料だけでは分かりにくことも、生の声を聞くことで理解が深まった」と話していた。
傍聴者からは「とてもいい機会になった」「候補者のリアクションなども参考になった」「さまざまな意見があり、お互いの刺激にもなっている印象を受けた。よりよい選挙になるのでは」などの声が聞かれ、閉会後には意見交換をする人の姿も見られた。
海老沼さんは「企画を考えた時に多くの意見を頂いた。好意的な意見がある一方で反対する声もあった。ただ、昔のやり方ではなく市民が求める新しい形があってもいいのではと思った。昔のしがらみを突破する意味でも挑戦したかった。初めての試みだったが、立候補予定者それぞれの思いを直接聞くことで、この地域のポテンシャルをさらに感じることができたのでは。この会をきっかけに、少しでも自分の地域に目を向け政治に興味を持ち、新しい民主主義の形が広がっていけたら」と期待を込める。
 いすみ市長選挙は、11月23日に公示、投票日は30日。