
都会と地方を行き来し「地方のくらしとビジネスの可能性を探求する」ことを趣旨とするローカルスクール「いすみラーニングセンター」が5月13日、若者に多様な価値観に出会える場を提供するための移動支援に向けたクラウドファンディング(CF)を始めた。
空き物件をメンバーで改修。今後の活用方法などアイデアを出し合った(写真提供=いすみラーニングセンター)
創造系不動産(東京都墨田区)が運営する「いすみラーニングセンター」は、2019(平成31)年に発足。月1回の活動日にいすみ地域に集まり、地域の人とのさまざまな交流を通し、ローカルでの暮らしや商いについて学んでいる。
創造系不動産社長の高橋寿太郎さんは「元々地方には全く興味がなかったが、いすみを初めて訪れた際に、地方に可能性を感じて都会から移り住んだ人がいることを知った。出会った人たちはローカルに根ざしながら、自らの手で未来を育てていた。その人たちの経験や工夫は『生きた知識』。ちょうど社内の20代の若手の中にも地方に興味を持つ人が増えてきたこともあり、『生きた知識』に触れ、そこから学ぶ場を作りたいと考えた」と振り返る。
活動日には、地域で活動する人を訪ね、さまざまなワークショップを実施。訪問先は、先輩移住者や地元大原漁港の漁師、大原駅前商店街の店主などさまざま。「多くの人との出会いを通しメンバーに価値観の変化が生まれ、出会いをきっかけに移住したり、ビジネスを始めたり、地域の手伝いをしたり、 地域とのつながりも深くなっていった」と高橋さん。
「一方で大学生や20代の若い世代が、移動にかかる交通費が経済的負担になり参加を諦めることが何度かあった。経済的な理由で、学びたい気持ちを持つ若者が諦めてしまうのはもったいない。意欲ある若い世代に学びの機会を提供するために、今回クラウドファンディングで協力を呼びかけることにした」とも。
今回の支援金は「いラセン奨学生制度」に活用する。同制度は、23歳以下を対象に、交通費や会費を補助し自身の経済的負担がほぼなく活動に参加できる「U-23いラセン奨学生」、交通費のみを補助する「U-28いラセン奨学生」の2種類で、第1期生を7月から募集する。
プロジェクト担当の金瀬ちゆきさんは「私自身、20代の頃に参加し都会と地方を行き来することで多くの刺激を受けた。若い世代ほどこの体験が価値のあるものになるのでは。移動の壁を越え、若者たちに学びの場が提供できたら」と支援を呼びかける。
目標金額100万円。目標金額を達成せずに終了した場合でも支援金を受け取れるオール・イン方式で行う。6月30日23時まで「READYFOR(レディフォー)」で受け付ける。