ライフセービングの世界大会「Lifesaving World Championship 2018」に出場する日本代表選手が御宿町で9月17日、強化合宿を行った。
ライフセービングとは、人命救助を目的とした社会活動で、水辺の事故防止のための実践活動のこと。人命救助の技術向上やトレーニングを兼ねて、ライフセーバーたちの日々の活動成果を披露することはライフセービングスポーツと呼ばれている。相手を負かして勝つことではなく、最も迅速かつ確実に溺れた人を救い出すことが最も重要な目的とされているため、ゴールの後に選手が倒れこんでしまったら失格というルールがある。
合宿には、11月16日に南オーストラリアのアデレードで開催される世界大会「Lifesaving World Championship 2018」に出場する日本代表選手が参加した。御宿町でプール・海を舞台に強化練習を行ったほか、宿泊先となった大野荘(御宿町新町)ではスポーツドクターによるメンタルトレーニングの講義を受けた。
講師はもともと内科医で、現在スポーツドクターとしてメンタルトレーニングを行う辻秀一さん。辻さんは、日本代表の監督を務める佐藤文机子(ふきこ)さんと15年以上の付き合いがある縁から講義を引き受けたという。
パフォーマンスを最大化する心の状態である「フロー」を個人としても組織としてもつくるためにどうしたらよいかをテーマにレクチャーが行われた。
最初はウオーミングアップとして選手・スタッフが交ざり、4チームに分かれて「Who are you ゲーム」を行った。参加者が知らない自分のことを自身で紹介するもので、「知らないことを相手に知ってもらおうとすること自体が目に見えないフロー化で、ゲームをやる前より距離感が縮まる」と辻さん。
そのほか、「エクセレントなチームとはどんなチームか」や「限られた時間の中で共有すべきことは何か」「どうやったらエクセレントなチームジャパンがつくれるか」など、テーマごとにチームを変えて話し合い、今のチームをよりよくするためのトレーニングミーティングも行った。
日本代表キャプテンの西山俊さんは「御宿は国内外のライフセービングの大会や学生選手権などを受け入れていて、ライフセービングに対して理解があるまち。合宿の会場としても受け入れ態勢をつくってくれる」と感謝する。
これまでの最高順位は総合8位で、2018年は総合6位を目指す。「なぜ高い順位を目指すかというと、競技力の向上が救助力の向上につながるから。スポーツは人の目を引き付けるので、ライフセービングを広めるための起爆剤として、水難教育や救助といった活動の普及に寄与したい」と意気込む。