勝浦港のキンメダイ・マグロはえ縄漁師の柴本直人さんが船を新造し2月4日、進水式を行った。

数年ぶりの進水式に集まる住民

　新しい「柴本丸」は、いすみ市大原港の小宮造船所で製造。4日早朝、造船所から手作業で運び出しフォーク車のけん引で約400メートル離れた港まで移送。小雨降る中、3時間かけて行われた移送作業には20人を超える漁師が駆け付けた。

　大原港では2台のクレーン車でバランスを取りながら、船を釣り上げ着水させた。着水後、最終点検や機械類を設置。大漁旗を掲げ大原港を出航、近隣住民や関係者の待つ勝浦漁港には14時過ぎに到着した。

　遠見岬神社の宮司による祝詞（のりと）奏上などの神事を行った後、集まった地域住民に向けて餅まきが行われ、菓子や餅に合わせて新造の喜びと幸福がお裾分けされた。

　勝浦港での進水式は2021年6月の「幸運丸」以来の約2年ぶり。勝浦港では、今後も次世代の経営者による新造船の製造が予定されているという。

　柴本さんは18歳の時、父の跡を継ぐためにいったん漁師に。しかし、当時はそりが合わず離職し、サーファーとして日本と海外を行き来する日々を過ごしてきた。26歳で再び父の跡を継ぎ漁師になった。

　柴本さんを支えてきた妻の和代さんは、移送に駆け付けた浜の仲間や餅まきに集まった100人を超える近隣住民に囲まれた直人さんを「名前の通りのまっすぐな人」と評する。