大多喜町の「上総中野駅」といすみ市「大原駅」間の14駅・26.8キロを走行するいすみ鉄道が3月24日、現在の経営体制になって35周年を迎えた。
1930(昭和5)年に国鉄木原線として大原駅から大多喜駅間で開通。4年後の1934(昭和9)年に「上総中野駅」まで路線を延長した。1988(昭和63)年、JR東日本木原線廃止に伴い、いすみ線として開業。第三セクターのいすみ鉄道が運営を引き継いだ。
一時は鉄道廃止も検討されたが2007(平成19)年12月から社長を一般公募。
土産物販売や売店の開店、企画列車運行や運転手公募など各種の経営努力が実り、2010(平成22)年8月6日、当面の鉄道存続が決定。
長年にわたって同社社長をはじめ、職員や地域住民が一体となって花を植えてきたことで観光列車として県内外から観光客が訪れるようになった。一方で、地域住民からは通勤・通学の足として重宝されている千葉県を代表するローカル鉄道。
全路線26.8キロのうち15キロの区間で菜の花畑が広がる。3月末~4月初旬の期間は菜の花と桜のコラボを楽しむことができる。
のどかな田園風景や菜の花畑を走る黄色い気動車が地域のアイコンとして幅広く認知され、「菜の花畑の黄色いじゅうたんをトコトコ走る姿がかわいらしい」とSNSや各種ブログサイトなどで取り上げられるようになった事ことで、春先には多くの鉄道ファン、写真家でにぎわいを見せている。
徳川四天王・本多忠勝の居城「大多喜城」をはじめ、城下町の面影を残した商店街、古民家を活用した宿泊施設や4500平方メートルの敷地に四季折々200種以上のハーブを育成する「大多喜ハーブガーデン」などとの連携にも力を入れ地域観光の中心を担っている。