大多喜町の新たなまちづくりの展望をディスカッションする「歴史まちづくりセミナー」が2月10日、同町役場で開催された。
基調講演で全国の歴史まちづくりの取り組みについて話す苅谷さん
主催は、房総の小江戸大多喜をつくる会。歴史的建造物の保存・活用に関わる専門家ちばヘリテージマネージャー(千葉建築士会)と共に企画した。
当日は定員50人のところ、町内外から80人以上が参加した。
開会のあいさつでビデオ参加した平林昇大多喜町長は「現在、当町の人口は8147人。2060年に人口8000人を保つためには、毎年170人の移住者が必要。移住者を増やすためのまちづくりの観点から、このセミナーでの意見を参考にしたい」と期待を寄せた。
大多喜高校生徒会より「町の活性化のための取り組みについて」発表があった。大髙紘士さんは「10年後も住み続けたい町であるためには、公共交通の利便性の向上が必要」と話し、その取り組みのアイデアを述べた。大久保勇希さんは「町内の同世代が求めているものとして、高校生が通いやすいカフェがある」と話し、空き家活用について提案した。
基調講演では、元文化庁文化財鑑査官、現日本イコモス国内委員会監事の苅谷勇雅さんが、日本各地で関わる歴史まちづくりについて成功事例を多くの写真と共に紹介。「歴史的なまちづくりは、保存することだけではなく活用するための投資も同時に必要」と話した。
セミナー後半では「新たな歴史まちづくり」をテーマに、地域で多様な活動をする人がパネリストとして参加し、発表した高校生や参加者と共にパネルディスカッションを行った。同町に住む参加者や高校生からも多くの意見が出され、幅広い世代での意見交換会となった。
参加した同校の仲村祐馬さんは「いろいろな世代の方の意見が聞けて、新たに考える視点を知ることができた。違った意見だからこそ、今日のような意見交換の場があることが重要だと感じた」と振り返る。
同校小倉菜愛さんと藤代すずさんは「若い世代が30年後、40年後を作っていくと言われるからこそ、今の自分たちが地域に対して感じている事や意見を持ってしっかり伝えることに意味がある」と話し、「大多喜町に住んで良かった、子育てして良かった思うような町にしていきたい」とも話す。
企画から運営までを担当した、ちばヘリテージマネージャーの堀口智子さんは「高校生たちが素直な意見を出してくれたのが良かった。こうした意見交換ができる機会をもっと作っていきたい」と意気込みを見せる。