勝浦市で430年以上続く「勝浦朝市」の広報紙「あさナム」の最新号が4月26日、発行された。
「かつうら朝市の会広報・プロモーション部会」の(左から)紺野さん、遠藤さん、冨永さん、渡辺さん。
「かつうら朝市の会イベント・広報部会あさナム編集部」が発行する同紙。同会の前身である「勝浦朝市の会広報プロモーション部会」で2022年6月に創刊し、現在までに6号発行している。
かつうら朝市の会出店者部会副部会長の渡辺久美子さんは「勝浦朝市をより多くの人に知ってもらうために新聞のようなものが作れないか考えていた。旬の野菜やその時々の情報をまとめて発信したかったが、なかなか形にできなかった。その頃、若い人の出店も増え、お客さまも若い世代が増えていた。話を聞いていくうちに、深堀りした情報を発信する新聞はどうだろうとアイデアが生まれた」と振り返る。
2021年ごろから勝浦朝市に足を運んでいた遠藤陽子さんは「朝市に日常の豊かさを感じた。時代の流れもあり昔と同じようににぎわうことは難しいかもしれないが、この日常の良さを伝えるものがあればいいのにと思った」と話す。
遠藤さんは市内の大学を卒業後、自転車コーヒー屋台で出店を続けている「SPAiCE COFFEE(スパイスコーヒー)」の紺野雄平さんの隣でライブペインティングを始めたことをきっかけに同部会に入会。紺野さんの薦めもあり、手描きで紙面を作り「あさナム。」の創刊に携わった。
「手描きだと温かみがあり、読んだ後もなかなか捨てることができないという声を聞く。中には部屋に飾っているという人もいると聞く」と遠藤さんは話す。
同紙名は「朝市を通して日々を営むことを伝えていきたい」という思いに由来する。毎号テーマを設け、現在までに「朝市テントについて話そう」「私が朝市に出る理由」「雨の日何してる?」などを特集。テーマは月に1度、メンバーで集まり話し合っている。
冨永優子さんは「平日の朝市では、地元の人がフラッと寄って他愛(たあい)もない話をしていくことが多い。この他愛もない話が次のテーマになることもあり話題には事欠かない。多くの人が行き交う場がとても豊かだと感じる」と話す。
冨永さんは2022年春、当時開催されていた「朝市ツアー」に参加。その際に「あさナム。」創刊号を手にした。同紙をきっかけに「朝市のディープさを知った」という。その後、多くの人との出会いがあり同市に移住。現在は「興津のゆうちゃん」の屋号で朝市に出店、同紙制作にも関わっている。
最新号では「屋号」を特集。長く勝浦朝市に出店している出店者には、自身の屋号を直筆してもらった。「私自身も『絵描きのよーこ。』の屋号で出店をしているが、屋号には名字や呼び名と違うものもある。中には代々受け継がれ100年以上続くものもある。屋号の由来を知ると、その店のルーツが分かり面白い」と遠藤さんは話す。
勝浦朝市会場のほか同市内各所で配布する。勝浦朝市は毎日6時30分~11時ごろ、1日~15日は下本町朝市通り、16日~月末は中本町朝市通りで開催する。