農業とスポーツのディアルキャリアを目指し大多喜町を拠点に活動する3人制バスケットボールチーム「esDGz OTAKI.EXE(エスディージーズオオタキエグゼ)」が、5月11日、シーズン開幕に向け出陣式を「おおたきショッピングプラザオリブ」(大多喜町船子)で開催した。
同チームは、プロスポーツ選手のデュアルキャリア形成と同町の活性化を目指し、2021年に設立された3人制プロバスケットボールチーム。
立ち上げから選手として活躍している成田琉晟(りゅうせい)さんは、「『大多喜町のヒーローになる』を理念に掲げ、スポーツを通じて地域貢献を目指している。プロ選手として練習に励みながら、農業に従事し米作りや竹林整備なども行っている」と話す。
メンバー11人のうち同町に移住し農業に携わっている選手は成田さん含め3人。全員未経験だったが、さまざまな人の助けを借りながら一から学んでいるという。「米作りの仕事というと田植えや稲刈りのイメージが強いが、水の管理や草刈りなどやることが多くて驚いた」とも。
試合は週末に開催されるため、平日は午前中に農作業を行い午後から練習することが多いという。「大多喜町は高齢化が進んでいるため、若い自分たちが役立てることがあればと積極的に地域と関わってきた。後継者のいない田んぼを任されることも増え、初年度は30枚だった田んぼは現在73枚まで増えた。収穫した米は『籠米(かごめ)』と名付け販売している。地域の役に立ちながら、バスケを通じて農業のことを知ってもらえたら」と成田さんは話す。
同チームの拠点は、いすみ鉄道東総元駅からほど近い旧総元小学校。廃校をリノベーションした施設でトレーニングジムや宿泊施設を備える。バスケットボールの教室も開いており、教室には同町だけではなく勝浦市、御宿町、茂原市など近隣市町村から通う生徒もいる。「合宿やワーケーションでも利用ができる。都内のチームが合宿で利用することもある」とも。
同チームが出場する3人制バスケットリーグ 3×3(スリーエックススリー)は2007(平成19)年から正式競技種目として世界で拡大。5人制バスケットボールの半分のコートで、1試合10分間または21点先取で12秒以内に攻撃をしなければいけないなど独自のルールがあり、スピーディーな試合展開が特徴。
商業施設や駅前など都市部のコンパクトな場所で開催できることや、試合の合間に音楽やダンスなど、さまざまなパフォーマンスが行われることもあり、スポーツエンターテインメントとしても近年人気があるという。
出陣式会場にはコートとゴールを特設し、大多喜町長や町会議員、地元企業関係者が集い選手を激励した。チームメンバー紹介の後、エキシビションマッチを行い観客を楽しませ、シュートが決まる度に歓声が上がった。
フリースロー体験には、来場した子どもから大人まで多くの人が参加。選手に助けてもらいながらシュートを決める子どもの姿も見られた。終了後には、選手にサインや記念撮影を求める人の姿もあった。
選手を代表し成田さんは「昨年はプレーオフまで行けなかったが、今年は進出を目指し、地域の皆さんの期待に応えられるよう頑張りたい。全国各地で試合が開催されるが、初日は東京での開催なので見に来てもらえたら」とファンに向けあいさつした。
シーズンは5月18日から9月末まで。