玉前神社の参道にある喫茶店「赤七屋」(一宮町一宮)内にセレクト書店「一棚本屋」がオープンして、7月20日で1カ月がたった。
入れ替えられた本を興味深く眺める金田さん。本をきっかけに話題が広がる
静岡県出身の金田勝巳さんが「子どもの頃に食べた味を提供したい」と妻の由実さんと共に2014(平成26)年にオープンした同店。黒いスープに串に刺した具が特徴の「静岡おでん」のほか、おにぎりやかき氷も提供している。
観光名所でもある玉前神社の参道入り口、鳥居の前に位置することから、参拝に訪れた人が立ち寄り、ゆっくりと過ごしていく人も多いという。
店舗は、元々商家だった店蔵を活用。一宮町指定の歴史的建物として登録有形文化財にも登録されている。古き良き時代の雰囲気を生かした店内ながら、長らく大きな棚を活用できずにいた。金田さん夫婦の友人の西田雅人さんが、イベントで出張本屋をしている「片田舎」の片田理恵さんから「店舗の一角で一棚本屋ができるところはないか」と相談を受け、「赤七屋」を紹介。金田さん夫婦も本が好きだったため、「有効活用してもらえるならば」と、一棚本屋が実現した。
本棚には「片田舎」のほか、いすみ市にある民間図書館「星空の小さな図書館」がセレクトした本が並ぶ。同館は、寄贈本をいすみ鉄道と地域のために活用する「い鉄ブックス」の蔵書を活用している。本は自由に閲覧ができ、販売も行う。
勝巳さんは「待っている間など手にとって読む人が多い。絵本などまとめて購入していく人もいる」と話す。「本屋ほど多くなく、店主がセレクトした本が並ぶため、じっくりと見ていきやすい。選書のセンスもよく、店内の雰囲気にとても合っている。時間と空間を楽しんでほしいと思っていたので、それにマッチしとてもうれしい」とも。
「カフェという空間で本を読んでいる光景がとてもいい。待ち時間や空いている時間についついSNSを見たり、ネットを見たりしてしまうが、本を読む光景が増えていくきっかけになれば」と西田さん。片田さんは「本屋が少なくなってきているが、このような形で実現してうれしい。今後も場所を持っている人たちと一緒にできたら」と話す。
営業時間は10時~18時。本は定期的に入れ替える。