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勝浦の老舗煎餅店「江戸屋」の味が復活 地元の若者が奮闘

EDOYA店主の紺野さんと煎餅を手焼きしている鈴木さん

EDOYA店主の紺野さんと煎餅を手焼きしている鈴木さん

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 勝浦商店街にあるコーヒー焙煎(ばいせん)所兼セレクトショップ「EDOYA(エドヤ)」(勝浦市勝浦)が2月22日、手焼き煎餅「江戸まさり」の販売を始めた。

せんべいは、昔ながらの製法で1枚1枚手焼きしている

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 煎餅店だった店舗を活用した同店。店主の紺野さんは「店内には、煎餅を焼くための道具が一式そのまま残っていた。活用できたらと考えていたが、なかなか形にできずにいた」と振り返る。

 大学卒業後、地元にUターンした鈴木里佳子さんは紺野さんに誘われ、姉妹店のコーヒー店「SPAiCE COFFEE HOUSE(スパイス・コーヒーハウス)」の立ち上げから参加。「店でコーヒーを提供していると、地元の人や以前に観光で訪れた人から『ここは昔、煎餅店だった。煎餅は買えないのか』とよく声をかけられた。道具もあるので復活できたらと考えた」と話す。

 当時の製法について詳しく記載した資料はなかったが、人の記憶や町の中にある記憶を頼りに、鈴木さんはさまざまな人に会いに行った。「秘伝のタレは、ノートに手書きで材料のみ書かれていた。当時の取引先だった店に行き相談するとさまざまなことを教えてくれた。煎餅の焼き方は、地元の職人に教えてもらうことができた。職を離れて時間が経っていたが、ていねいに教えてもらえたことがありがたかった」と話す。

 「タレの配合は、正確なものは分からなかったが、試行錯誤しながら当時の味に近いところまで再現することができた。地元に根付いた店だったからこそ、当時をよく知る人たちが心よく相談に乗ってくれたのでは。多くの人に支えてもらい、形にすることができた」とも。

 「江戸まさり」は、鈴木さんが一枚一枚煎餅を手焼きをした後、タレに漬けて乾燥させ、約2日をかけて完成する。発売日は、地域最大のイベント「かつうらビックひな祭り」開催に合わせた。多くの人が土産として買っていくほか、コーヒー店の常連も煎餅を求め訪れている。鈴木さんたちに「頑張ってね」と声をかける客の姿も見られる。

 鈴木さんは「テーマやデザインを一緒に考えてくれる仲間がいたから、最後まで形にすることができた。懐かしさも感じつつ、『江戸まさり』がこの地域の新しい土産の一つになれば。現在は1種類のみだが、今後、勝浦産の塩を使った煎餅や、勝浦タンタンメン味なども開発できたら」と意気込む。

 価格は、9枚入り=1000円、4枚入り=500円。営業時間は8時~16時。火曜・水曜・木曜定休。

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