
千葉県立大原高校(いすみ市大原)で6月26日、地元若手漁師と料理人を講師に招いた授業「ライフキャリア」が行われた。
同授業は、3年生の選択授業として毎週木曜の3・4限目に開講。選択授業には「音楽」「美術」のほか、海洋科学系列、園芸系列、福祉系列がある総合学科高校ならではの「フードデザイン」「服飾手芸」「水産海洋基礎」などもある。ライフキャリアは、例年人気が高く、今年31人の生徒が受講する。
授業では毎週さまざまな講師を招き、その仕事について学ぶ。昨年、初めて講師を務めた地元漁師の田口光哉さんは、今年、茂原のイタリア料理店「ペッシェアズーロ~青い魚~」のシェフ池田征弘さんと共に授業を行った。料理人歴43年、同店19年目の池田さんは、いすみ鉄道の「レストラン列車」で腕を振るうなど積極的に地域と関わっている。千葉県が主催する「黒アヒージョ料理コンテスト2024」でグランプリも受賞した。
田口さんが乗船する漁船「正和丸」に池田さんが訪れ、直接魚を仕入れていることがきっかけで交流を深めるようになった2人。池田さんは「地域の食材を使った料理を提供している。地域の食材を地域で食べることで応援につながる。農家、漁師など一次産業の人と一緒に取り組みを進めていきたい」と話す。
当日は、田口さんが水揚げし神経締めをしたワラサを用意。田口さんは「神経締めをすることで鮮度を保つことができる。手間はかかるが良い状態のものを届けるには必要」と話した。1週間熟成したワラサは池田さんがさばき、生徒に振る舞った。生徒からは「今まで食べたことがない」「おいしい」などの声が上がった。
グループワークでは、海や漁師の仕事に興味を持ってもらうためのアイデアについて話し合った。「中学校などでの出張授業はどうか」「一日漁師体験」「漁師の日常を漫画で伝えては」「海上アスレチック」「夕日を見ながらできるダイビング」など、さまざまなアイデアが出された。
池田さんは「おいしいは、食べておいしいだけではなく、誰と、どこで、どのように、という環境も大きく影響する。人それぞれ違うが、そのことを忘れずにいてもらえたら。やったことがないことに挑戦してほしい」と話し、田口さんは「これからどんどんAIが進化し、取って代わる仕事も増えていくが、ロボットにはできない、人だからこそできる仕事をしてほしい」と呼びかけた。