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大多喜・山神水神神社祭礼 町無形民族文化財のおはやし、子どもたちがつなぐ

上総中野駅前で山車に乗り演奏する子どもたち(写真提供=Yellow)

上総中野駅前で山車に乗り演奏する子どもたち(写真提供=Yellow)

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  大多喜町中野地区の伝統行事「山神水神神社祭礼」が10月4日・5日の2日間、山神社水神社(大多喜町中野)で行われた。

中野山神山水神社のみこしの前での記念写真(写真提供=Yellow)

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 同祭りは山と水の恵みに感謝し、豊作や地域の安全を祈る伝統行事として毎年10月に催行。古くから山林と清流に囲まれた同地域では、山の神「大山祇命(おおやまつみのみこと)」と水の神「水神」を一体として祭り、自然との共生を象徴する祭りとして受け継がれている。

 同神社のおはやしは大正初期に神楽ばやしの笛が普及したのが始まりとされ、昭和初期に青年団によるおはやし保存会が設立。1972(昭和47)年に始まった「子どもたちのおはやし」が伝統として今でも続いており、地元の子どもたちが太鼓・笛のおはやしを担っている 。1992(平成4)年には大多喜町無形民族文化財に指定された。

 毎年、子どもたちのおはやしの練習は、笛は8月後半、太鼓は9月初日に始まる。「上総中野山神山水神社お囃子保存会」が指導し当日までの期間、同神社からおはやしの音色が鳴り響く。

 4日の宵祭りではおはらいを行い、式典を終えた後、境内の中でみこしが担がれ奉納のおはやしが鳴り響いた。夕方になると地元の米を使ったおにぎりや串物など地元住民より手作りの軽食が振る舞われた。

 5日の本祭当日は、地区の住民が神社に集まり、お神酒や供物をささげ、おはやし奉納を披露。おはやしの子どもたちは山車に乗り神社を出発した。山車や参列者の行列がおはやしの音色と共に上総中野駅へ向けて地域を巡った。おはやしを披露していると小湊鉄道の列車やいすみ鉄道の代行バスが到着し、観客が増え、さらに盛り上がった。駅では地元住民から訪問者へおにぎりや飲み物が配られた。

 祭りは子どもから高齢者まで幅広い年代が参加する。参加した地域住民からは「世代を超えて地域の結束が強まる機会」「自然信仰と共同体の絆を感じる心温まる行事」などの声が聞かれた。 おはやしに参加した斉藤歩夢さんは「伝統あるおはやし。笛・太鼓を教えてもらい演奏できるようになり楽しかった。ずっと続いてほしい」と話していた。

 保存会代表の吉野研一さんは「少子高齢化が進む中、地域のおはやしを続けていくためには、担い手不足の解消をどうするかが重要。課題もあるが伝統を継承していくためにも、力を合わせて活動を継続できれば」と話す。

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