御宿町の元縫製工場で3月21日、「店仕舞いフリーマーケット」が開催された。
縫製工場には、布や糸、ボタンなども多くの残されていた(写真提供=マチノイト)
10年ほど前に閉鎖された同工場。長らく当時のまま放置されていたが、不動産業を営む小野浩志さんが物件の活用を考え、片付けを開始。工場には縫製工場で使われていた機械や資材がそのまま残されており処分に困っていたところ、知人の紹介でいすみ市のミシンアトリエ「マチノイト」主宰のまつながさやかさんと出会う。
マチノイトでは、服のお直しやオーダーメードの相談のほか、思い出の着物から自分で服を作るワークショップなどを開いている。着物をリメークした服を販売するなどアップサイクルにも取り組む。まつながさんは「工場には工業用ミシンや作業台、糸や裏地、芯地などさまざまなものが残っていた。縫製に関わる人が見れば宝の山。これを処分してしまうのはもったいないと思い、欲しい人に届くようフリーマーケットを提案した」と振り返る。
告知はSNSでの呼びかけのみだったが、当日は朝から多くの人が駆けつけた。近隣の人だけではなく、茨城や山梨、神奈川など県外からの来場者も多く、東京から訪れた女性は「貴重な機械がたくさんある。時間をかけてでも来たいと思った。大事に使いたい」と話していた。
小野さんは「あまりの反響の大きさに驚いている。私にはここに残されたものの価値が分からなかったが、必要としている人の元に届いて良かった」と話す。
まつながさんは「来場者が真剣に選び、欲しいものを見極めていたのが印象的だった。廃業して終わってしまったのではなく、自分たちが使っていたものが次の使い手に継がれていったことを縫製工場で働いていた人たちにも見てもらいたかった」と話す。
「廃業は悲しいことだが、少しの工夫とアイデアで次の使い手へつなぐことができる。放っておけば捨てられてしまうものが見方や人によっては宝物になるということが、さまざまな業種で広がれば」とも。
同様の企画は4月2日にも予定する。