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「料理マスターズ」受賞シェフ、地元いすみ「五氣里」で地産地消伝える

25年ぶりに地元に戻った木村シェフ。2022年、食を通して地域の魅力を伝える「いすみ大使」に就任した

25年ぶりに地元に戻った木村シェフ。2022年、食を通して地域の魅力を伝える「いすみ大使」に就任した

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 いすみ市出身のシェフ木村藍さんが4月、ラグジュアリーリゾート「五氣里(いつきり)」(いすみ市下布施、TEL 0470-60-6090)のトップシェフに就任し、5月7日に生産者を集めた会を開いた。

外房地域に拠点を置く生産者。しょうゆ絞りの実演や養蜂家による巣蜜の提供などもあった

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 木村さんは大学卒業後、金融関係の仕事を経て料理人の道へ進んだ。2012(平成24)年、池袋にフレンチレストラン「シュヴァル・ド・ヒョータン」をオープン。ミシュランガイドに2度紹介され、2023年には、農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」でブロンズ賞を受賞した。

 2016(平成28)年ごろから、同市は「食を通したまちづくり」を進めていた。木村さんは料理人として自分の地元に興味が向き、役場に問い合わせたところ、職員の紹介で地元の漁師や農家とのつながりが生まれていったという。「自分の地元を改めて見てみたら魅力的な素材がたくさんあった」と振り返る。

 市の事業終了後も料理人と生産者で定期的に集まり情報交換していたが、コロナ禍で改めて店のことを考えいく中、いすみ地域の素材に注目し、食を通して地域の魅力を発信していくスタイルに変えた。「料理人としてキャリアを積む中で、素材を生かす料理を提供したいと思うようになった」とも。

 木村さんは「ここ2年間は、店の定休日に地元に戻り、生産者を回り、共に作業をする時間を大切にしてきた。作り手の思いだけではなく、海のこと、里のこと、地域のこと…何気ない会話の中からさまざまなことを知ることができる。その時間が豊かな刺激を与えてくれる」と話す。

 地元へ戻ることを決めたところ、縁あって「五氣里」でトップシェフを務めることになった。 「『地域のハブになりたい』というオーナー思いを受け、まずは生産者にこの場所を知ってもらう機会ができないかと考えた」という。

 木村さんの呼びかけで、会には米や野菜、果樹の農家、漁師、酪農家、養蜂家、猟師やチーズ職人、地元の酒蔵から蒸留家まで、外房地域に拠点を置く70人近くの生産者が出席した。

 地域の食に関わる者同士、顔見知りの人も多い。参加者からは「久しぶりに会った人も多く、うれしい。皆、思いを持って頑張っていることを知ることができ、いい刺激をもらった」「近くに暮らしていると宿泊施設を訪れることはほとんどない。このような機会に五氣里のオーナーの思いを知り、木村さんの新しい挑戦の場を知ることができて良かった。これからも応援していきたい」などの声が聞かれた。

 木村さんは「この地域は、思いを持った生産者から生まれる素晴らしい食材にあふれている。心が通じ合える人たちの食材で、料理を通じて生産者たちの思いを伝えていけたら」と意気込む。

 同宿は、全客室に温泉を完備。古民家をフルリノベーションした離れやヴィラタイプの客室、ドームテントを含み全20棟。中にはサウナ付き客室、ペットと泊まれる部屋もある。

 15時チェックイン、10時チェックアウト(サウナ付きスイートルームは11時)。料金は3万7,400円~(夕食・朝食レストラン、2人1室の場合の1人料金)。バーベキュープランや素泊まりプランもある。

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