地域の魅力を再発見するトークイベント「第1回いまさらキケナイいすみ」が8月21日、EREいすみ事務所(いすみ市大原)で開催された。
当日は秋葉さんが育てた梨を参加者で試食した(写真提供=ENEOSリニューアブル・エナジー)
主催は、洋上発電事業者として大学や専門家と共にいすみ地域で調査と研究を進めているENEOSリニューアブル・エナジー。同社によると、調査結果や地域の人と活動を進める中で、「地域間、地元出身者と移住者間など、属性やコミュニティーを超えた広域的なつながりが広がることで、より新しいことが生まれていくのではないかと感じた。今自分たちができることの一つとしてトークイベントを発案した」という。同社の近藤有希さんは「この地域に地元の人が意外と知らない素晴らしい魅力を感じている。例えば、毎年梨農家の受粉作業の手伝いをしているが、初めて手伝った時に、一つ一つ手作業で行っていることに大変驚いた。こうした発見を自分たちだけにとどめておくのはもったいないと感じた」と話す。
初回は地域の特産品である「いすみの梨」をテーマに、いすみ市岬町で「秋場梨園」を営む秋場静さんを招き開催。粘土質の土壌を生かした梨を栽培する傍ら、千葉県知事が認証する千葉県指導農業士として新規就農者の育成や若手農家の指導にも力を注いでいる。
当日は約15人が参加。秋場さんは「秋になって葉が落ちてからが一年の始まり。寒い風が吹く中、剪定(せんてい)作業を行い、例年、4月10日前後に花が咲き受粉作業を行う。以前は中国から安い花粉が手に入ったが入手できなくなり、今は日本全国花粉確保に難航している。梨を丸く育てるため、めしべに実止まりするよう受粉する。7月頭から10月頭頃までが収穫期間。品種の主流は幸水と豊水。いすみ地区は日本でも高い価格で取引されており、お盆前の時期は10キロ当たり7,000円から~8,000円で取引される」と話す。
「剪定作業に熟練さを要するため、熟練度で対応できる圃場の面積が決まる。5年で覚えられるが人並みになるのは10年かかる。果樹の栽培は1年に1回しか挑戦できないので、ちゃんとできているかの確認が難しい。樹木は30年~40年をめどに役目を終える。15年~30年の樹木がおいしい実をつける期間」とも。
若い頃は農家を意識しつつもサーフィンに明け暮れていたという秋場さん。結婚を機に梨農家としてより真摯(しんし)に向かうようになったという。「農家になって45年がたつが、まだ完璧と思える納得いく木はない」
会場では、秋場さんが育てた梨を振る舞い、参加者から「みずみずしいしい甘さ」「おいしい」などの声が聞かれた。
近藤さんは「初めての開催だったため、いろいろと不安なことはあったが、秋場さんをはじめ皆さんに協力いただき、多くの方に参加いただけて感謝している。梨や農家さんについて新たな学びがあったことに加えて、『普段、地元にいながらも自分の生活圏にない人や分野の話を聞けてよかった』という感想をいただけたことがうれしく、次回以降の開催へのモチベーションにもなった」と話す。
次回は9月3日、「ノウフク連携」をテーマに開催を予定する。