食べる

いすみ「高秀牧場ミルク工房」が10周年 「ようやく、ここからスタート」

高秀牧場ミルク工房の馬上さん。「牛のそばで牛の魅力を伝えたい」

高秀牧場ミルク工房の馬上さん。「牛のそばで牛の魅力を伝えたい」

 牧場の搾りたて牛乳を使ったチーズやジェラートを販売する「高秀牧場ミルク工房(いすみ市須賀谷)、TEL 0470-62-6669」)が6月12日で10周年を迎えた。

「高秀牧場ミルク工房」オープン日。牧場オーナーの高橋さん夫婦と馬上さん、当時のスタッフ(写真提供=高秀牧場)

[広告]

 約200頭の乳牛を飼育し、資源を無駄にせず循環させる「循環型酪農」に取り組む高秀牧場の敷地内に2016(平成28)年にオープンした同工房。社長の馬上温香さんは、両親が営む同牧場の長女として生まれ、幼い頃から牛と共に暮らしてきた。カナダの大学で観光業を学んだ後、飲食店での接客業や観光ガイドをしていたが、同牧場にチーズ工房ができたことをきっかけに帰国した。

 帰国後、「多くの人に牛について知ってもらいたい」との思いから、ジェラート工房を立ち上げた。馬上さんは「ジェラートなら世代を問わず味わうことができ、身近に感じてもらえる。牧場に来るきっかけになるのではと思った。私は当時まだ20代で、社会人経験も浅く、日本で企業に勤めた経験もなかったが、牧場の後ろ盾や地域のつながりもあり、あまりにもスムーズに形になってしまった」と振り返る。

 「特に宣伝していたわけではないが、お客さまがSNSで広げてくれたり、地元の人が食べにきてくれたりして、口コミで広がって多くの人でにぎわい驚いた」と馬上さん。

 人気の勢いもあり、馬上さんは千葉市内で2号店の立ち上げを決める。「都市部の人にこそ、牛の魅力を伝えたいと思った。2号店を出すことで、それがかなえられると思った」と話す。2号店は2020年にオープンしたが、コロナ禍の影響もあり思うように売り上げが伸びなかったという。「経営者として甘かった。全てにおいて本当につらかった。契約のこともあり、なかなか撤退できなかったが、今年ようやく区切りがついた。肩の荷が下り、これでようやくミルク工房に集中することができる」と話す。

 ミルク工房では常時12種類のジェラートを提供。地元の季節の素材を使った味も期間限定で用意している。「オープン時から提供しているのは、ミルク、ブルーベリー、トマト、カフェオレ。ミルクは必ず用意している定番。いすみならではの梨や柿、ナバナ味も期間限定の定番品。最近では勝浦産の生ミントを使ったチョコミントが人気」と馬上さん。

 チーズは現在15種類。「いすみの白い月」「モッツァレラチーズ」は開業当時から変わらず販売している。馬上さんは「先日、チーズ職人が自身の工房を立ち上げるために独立した。新しい職人がレシピを引き継ぎ頑張っている」と話す。

 「10年、あっという間だった。つらい経験も多かったが、ようやくスタート地点に立てた気分。立地的な条件からスタッフ確保が難しいなど、まだまだ課題も多いが、持続可能な経営とは何かを考え続けていきたい。牛は牛乳を出してくれるだけではなく、肉になって人の命をつなぐ。革製品になったり、ふんを堆肥として利用したり、私たちに多くのものを与えてくれる。そんな牛の魅力を都会の人にこそ広めたいという思いは今も変わらない。今後はキッチンカーでの出張販売や、牧場の取り組みを子どもたちに知ってもらう出前授業なども積極的に開いていけたら」と前を向く。

 ミルク工房の営業時間は10時~17時。木曜定休。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
ALL