いすみ市内在住のいすみ楊枝(ようじ)職人、本杉論一さんが製作した「いすみ楊枝」の額装が8月3日、米ミネソタ州ダルース市からの訪問団に進呈された。
「いすみ楊枝」をダルース市からの訪問団に進呈する小路市長(写真提供=いすみ市)
いすみ楊枝は千葉県君津市に伝わる伝統的工芸品「雨城楊枝」から伝承された高級楊枝。単に食べ物を刺して使うのではなく、楊枝そのものに松竹梅や熨斗(のし)、かんざしなど、さまざまなデザインを施し意匠性を高めているのが特徴。千葉県伝統的工芸品として認定されている。
贈答のきっかけは同市国際交流協会と共に訪問団受け入れを担当した同市教育委員会浅尾公司さんが「いすみ楊枝を贈答品としたいので見学させてもらえないか」と本杉さんに打診したことだった。
本杉さんは東京都出身。システムエンジニアとして、企業のシステム構築業務に携わってきたが退職後、夫婦で田舎暮らし考え移住先を探し、約20年前に同市に移り住んだ。登山が好きで、山登り最中に楊枝の原料となるクロモジを見て調べたところ、クロモジを使い工芸品を作っている人がいることを知り、楊枝作りに興味を持つ。いすみ市内で開かれた体験会に参加したことをきっかけに、講師の高木守人(故人)さんに58歳で弟子入りした。
本杉さんは「一人前になるのに10年かかると言われたが、技術習得にまい進してきた。楊枝を作って約19年がたったがクロモジ採りに登山の知識が役に立っている」と話す。
当日は、訪問団の学生11人、引率の教師2人がいすみ市役所を訪問。小路正和市長へあいさつし、記念品として額装を受け取った。5日には大原文化センター(いすみ市大原)で茶道を体験。本杉さんも同席し、いすみ楊枝について説明した。学生たちは熱心に耳を傾け、「楊枝を作るのにどのくらいの期間がかかるのか」など質問した。
参加者のナッシュ・クラッセルトさんは「このような楊枝は初めて見た。楊枝で和菓子を切ったのも初めて。抹茶は少し苦かったが、日本のお菓子を食べたことがあったので食べるきることができた」と話していた。
本杉さんは「いすみ楊枝の魅力は、材料を採りに行く楽しさ、削っている時に香りが良く、集中できること、ものづくりの楽しみ、できた時の喜びなど多岐にわたる。楊枝を作るための道具も考えながら作らなければならないことも楽しい。師匠から受け継いだ知識や技で続いている日本の伝統ある文化を、ダルース市でも紹介してもらえたらうれしい」と話す。